TAM Music Factory
特別企画Vol.3 2002春



 
雪と氷とお花とボクと 作 綾守 永さん 

きしきしとなる氷をふみつけて、ボクは雪と氷のまじった道路をはしるんだ。
 氷をみつけたら、ぴょん。もいちどみつけて、ぴょん。カエルみたいにぴょんこぴょんこジャンプして、はしって、またジャンプするんだ。病院にくるときには、いつもそうしてるんだよ。
 あぶなくないよ、だいじょーぶ。もっともっとさむい雪の日の方があぶないよ。ボクの足がずぼずぼ埋まって、長靴がくわれちゃうんだもん。
 それに園長先生は「走る子は元気な子」だって、いつもボクをほめてくれるんだ。ろーかを走ると、ちょこっと怒られちゃうけどね。だからボク、ゆきどけの氷をふんづけて走ってくるんだ。ぴょいってすべると、テレビでやってるスケートみたいに上手くすべれるんだよ。
 雪がとけてきたのは、あったかくなってきたからなんだってパパが言ってた。春が近いんだなって。氷をふんづけてとかしちゃえば、冬はさっさと帰っちゃうのかなあ。ボク、その方がいいな。そしたらおつかいもいっしょけんめ行くよ。氷と雪をとかしながらがんばっちゃうんだけどなあ。
 あと少しすると、ボクもみんなと一緒に小学校のおにいちゃんになるんだよ。すごいでしょ。あんなおっきなランドセルしょって、小学校におべんきょーしにいくんだ。春ってすごいよね。楽しいこといっぱいだね。雪がとけて、お花がさいたらボクはおにいちゃんになるんだもんね。

 ねえママ、早く春になるといいね。パパと、ママと、おにいちゃんのボクと、赤ちゃんで入学式のしゃしんとる約束したもんね。
ボク、春になるまでまいにち病院にくるよ。雪と氷がとけてお花が咲いたら、一緒に帰ろうね。

music by tam(2002.3.30公開)
曲はフリーMIDI素材です。ふつうイメージのページからダウンロードできます。

作者のコメント:家にいる弟の入学式前を思い出して書いてみました。周囲のはしゃぎようもすごかったですがやはり本人が一番嬉しい様子で、来る日も来る日もカレンダーとにらめっこしていました。まだ肌寒い日に吹く暖かい風が、春の気配を感じさせる。そんな話にであればいいなと思います。 by 綾守 永さん 2002.3.17
曲を作るにあたって:子供の会話から季節、心情などなど、物語っている心暖まる作品です。「子供の無邪気さと優しさ」を感じることのできるような曲を目指し、前半は「無邪気さ」後半は「優しさ」を表現しました。  by tam 2002.3.20

 

特別企画Vol.3のページへ