TAM Music Factory
特別企画Vol.3 2002春



 
春の向日葵 作 ハナさん 

ある暖かな春の日のこと。

喫茶店でフルーツジュースを飲むタヌキ君と、コーヒーを飲むキツネちゃん。
「キツネちゃんは、どんな花が好き?」
とタヌキ君が聞いた。
「季節の花が好き。春だと桜やチューリップが良いな」
とキツネちゃんが答えた。
「僕は、断然、向日葵だな。隣村にね、すっごく広い向日葵畑があるんだよ。
夏になったら一緒に見に行こうね」
「うん、行こう、行こう」

タヌキ君は、とっても行動的な男の子だった。
口癖は『井の中のタヌキ大海を知らず』
好奇心が旺盛で、何にでも一生懸命。
キツネちゃんは、そんなタヌキ君が大好きだった。
好きというより、タヌキ君の自由奔放な生き方に憧れていたのかもしれない。

春から夏へ、夏から秋へ、秋から冬へ、そしてまた春がやってきた。
喫茶店のカウンターで、コーヒーを飲むキツネちゃん。
夏、二人は一緒に向日葵を見に行くことはなかった。

春の向日葵
二人のタイミングは、少しずつずれていたのかもしれない。
春の向日葵
二人の生き方は、少しだけ違っていたのかもしれない。

今、タヌキ君の車の助手席には、タヌキちゃんが座っている。
そして、キツネちゃんの横には、キツネ君が座っている。
夏の向日葵
これが自然なのだろう。


music by tam(2002.3.3公開)
曲はフリーMIDI素材です。春イメージのページからダウンロードできます。

作者のコメント:擬人化したタヌキとキツネ。似ているようで似ていない二人。自分にないものを求めながらも、やっぱり落ち着くべきところに落ち着く二人。新緑の春に向日葵の花、タヌキ、キツネ。絵本のような優しいイメージの「ショー トストーリー」を考えてみました。 by ハナさん 2002.2.1
曲を作るにあたって:題名を見たとき、春に向日葵?と誰しも思うのではないでしょうか。話を読むとその理由とともに、キツネちゃんとタヌキ君のちょっぴり切ない恋物語である事が分かります。今回の曲は、物語の展開にあわせて「春の日差し」〜「喫茶店のシーン」〜「想い」〜「時は移り」〜「結末」という構成にしてあります。読みながら聴いて頂くと、よく分かると思います(^^ 曲はオーソドックスですが、暖かみのある曲に仕上がったと思います。  by tam 2002.3.3

 

特別企画Vol.3のページへ